【脛骨・腓骨骨折06】転院欲が止まらない!包帯交換は現代の拷問

骨折ダイアリー
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前回の骨折ダイアリー:骨折ダイアリーVol.5

2016年5月3日 AM7:30

朝の光は素晴らしい。こんな動物園状態の病院でも僕はそう思う。

朝日を浴びて起床し、昼は書物を読み、食事はバランスの取れた栄養食。まずいけど

骨折した身ではあるが、酒も飲まず早寝早起きで健康的な生活をしている。皮肉かオイ

足以外の体は、内臓たちも合わせてみんな喜んでいることだろう。

ヘルシー。まさにヘルシーライフだ。

あいつらさえいなければ……

ボチャ子! 院長! おまえらだよ!!

おまえらはHealthyじゃない。Hell Sheや

こちとらおまえらへのヘイトで腹タップタプやぞコラァ!

看護師さん「せいじさん朝食ですー」

相変わらず頭が痛くてあんまり食べれない。髄液の回復とは一朝一夕というわけにはいかないようだ。

頭痛くなくてもまずいのに!

それでも治すためには食べなきゃ! そう、骨折治療には栄養補給が不可避。しっかりと滋養を取り、十分な休息が必要。というわけでおいしくないご飯でも、頑張って口に運ぶ。

「うぐぅ!」

頭に手を当てて呻きながらも懸命に食べる。気分は闘病中のドラマの主人公

しかしそんな中二テンションでもこの頭痛はきつい。自分に酔える限界を超えてる

もくじ

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バーサーカー妄想

結局半分くらい食ったところで力尽きてベッドに横たわる。頭が痛くて本を読む気にもなれない

だが、この状況こそが危険!

ベッドにダラッと横たわるだけの時間は、どうしても余計なことを考えてしまう。

ましてや、今はゴールデンウィーク。

ざわ……ざわ……

くそっ! ざわめきやがるっ……!

ああ、俺がこうしてる間に世間のみんなは汗を流して金を稼いだり、どっか旅行に行って楽しく過ごしてるんだろうなー

ああ、俺がこうしてる間に会社の仕事溜まってんだろうなー

ああ、俺がこうしてる間にこの病院のクソ高い部屋代がどんどん積み重なっていくんだなー

ああ、俺がこうしてる間に……

俺がこうしてる間にゃああぁああぁぁぁああぁぁあああん!!!!

ただ横になっている間は、こんな風に余計なことしか考えられない。

僕は自分のことをわりとポジティブな人間だと思ってたんだけど、全然そんなことなかった。まあ、この環境じゃな……

はっきり言って僕は、一番タチの悪い部類のウンコ製造機。

働けず、歩けず、食べる喋るの口だけは達者に動く! ちなみにトイレは、一人で行けないんだぜ!! 役満かコラ

もうプライドズッタズタ。プライドが服着て歩いてるようなべジータも、泣きながら「ヤダヤダ」ってなる程度にズッタズタ

今までは本気出せば自分一人で何でも出来ると思ってた。人間死ぬ気になれば、何でも出来るもんだよ! 死なないから。とか思ってた

でも、今の僕は本気出しても一人でウンコすら出せなーーーーい!!!!

ワオォーーーーン!!!!

……こんなことを1時間だか2時間ずーーーーっと考えてた。わあー、無駄っ☆

でもな、おっちゃんもな、大変なんよ。ここ数日色々ありすぎてな、脳みそが混乱してんねん。すまんな

泣き言も、弱音も、横たわっとるとドバーッと流れ出してくんねん。すまんな

すまんな……すまんな……

こんな感じで一人懺悔していると、看護師さんが点滴の交換にやってきた。

おお! 今日は担当がボチャ子じゃない!!!! うれしい

こんなことで元気が出るのも情けないが、本当にボチャ子の仕事の雑さは筆舌に尽くしがたい。

他の看護師さんの包帯交換や点滴交換が高級ホテルのルームサービスに思える程度には違う。

腕グイー包帯グイー腕ポイーだもん。いてぇよ!!!! 僕ドMちゃうねん

あいつの点滴は点滴じゃない。天敵だ

そんなクソみたいなことを考えている内に今日の担当さんの点滴&包帯交換は終わる。ブラボー!

ブラボー

出典:『ジョジョの奇妙な冒険』第14巻より

本来点滴交換に痛みを伴うこと自体がおかしいんだよな。うん

故郷は遠く

点滴持論に興じていると、急に母親から電話がかかってきた。お? もしかして骨ボッキボキ心ポッキポキの僕を心配してくれてるのか?

やっぱあれだよな、大事な息子だもんな!

熊本から遠く東京へ一人旅だった我が子、心配しないはずがないわな!

オイ、俺涙出ちゃうぞコラ

……と思ったら、弟とのケンカの愚痴だった。

おい!!!!

……と言いつつも、実家は熊本地震の影響で大変な状態。家族もメンタルが不安定ということでケンカも致し方なしな話。

骨折に、地震で実家が被災……2016年は色々悪いことがあるなぁオイ!

ただ、実家の被災は一番震度が大きい部類(震度6~7)だったにもかかわらず、親戚一同誰もケガがなかった。それだけは本当に良かったと思う。

そんなこんなで、ひとしきり母の愚痴を聞き終えて電話を切る。何か今日は色々考えすぎて疲れた……

だがこんなことで挫けないボキ!

愚痴とはいえ、家族と話すことで少しは気が紛れたので、筋トレをはじめることに。

主治医の先生いわく、骨折している部位以外はギンギンに健康なので動かしまくって良いらしい。

僕は早速上半身をいじめ抜くことにした。

とは言っても病室でバーベルを持ち上げるわけにもいかないので、嫁が自宅からもってきてくれたトレーニング用ゴムチューブを使用。緑色で、なんか青ネギみたいなトレーニング器具だ

しかもこんな殺風景な部屋では気分も乗らないので、音楽を聴きながらやる。もちろん曲は「ロッキーのテーマ」

「フンッ!! ……フンッ!!」

スタローンよろしく声を荒げながらベンチプレスっぽく腕をグイグイ押し上げる。

もう気分は山籠もり中のロッキー。相部屋だったら絶対出来ないことだぜエイドリアン!

30分ほどフンフン言っていると、さすがに疲れてトレーニング終了。

途中汗で手が滑って、ゴムが自分のところにバチンッ!! ってなったりして痛い思いもしたけど、充実した時間だった。

そして「ゴムのバチン!!」でゆーとぴあという言葉が浮かんだあなたはおっさん確定です。

トレーニングの疲れに休む間もなく、消毒の時間がやってくる。

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ボチャ子リターンズ

消毒。

メスを入れた僕の足は、控えめに言ってもズッタズタなので、消毒をこまめにしなくてはならない。

とは言っても、それほど大それたものじゃなく、皆さんが想像するような、綿に消毒液を含ませて傷口にチョンチョンやる程度のもの。

これで本当に消毒できてんのか不安になるほど簡単なやつだ。

それを女院長がふんぞり返った姿で、さも「私が救ってやったんだぞ」みたいな顔でやってくる。

ゆーてこいつは手術もしてないしリハビリやら何やらにも全然絡んでいない。

担ぎ込まれたとき、僕にただ嫌味を言ってきただけのしょうもない役回り。

しかも、この病院の沿革をサイトで調べると、どうも開業したのは先代で、この女院長は先代の娘のようだった。

「二代目が会社を潰す」というのは聞いたことがあるが、ここまでしっくりくる二代目気質も珍しい。典型的な甘やかされ娘だった

そんな背景もあり、女院長には不信感が止まらない。

執刀医に威張られるならまだしも、こいつには……

まあ愚痴は置いといて、消毒にあたってはまず包帯の交換が必要で、そこは看護師さんが持ち回りでやってくれている。

この包帯の交換にも個人差が出ていて、うまい人は本当に優しい。

なんつーか、包み込まれるような優しさ。もうね、包帯がミルフィーユみたいに優しく見える。

傷口の膿が張り付いたガーゼとかも、痛くないように優しく剥がしてくれるし、何より声をかけてくれるので勇気が出る。

「せいじさん、痛いけどちょっとの我慢だからね!」

その一言で僕は頑張れる。ガンバレル方式やぞ! 涙の数だけ強くなれるよ!

その逆で雑な看護師の包帯交換は本当につらい。傷口の膿とか、そんなん関係なし。もうベリベリ剥がしちゃう。

そのたびに僕は

駄目だまだ吐くなこらえるんだ

こんな顔になるんだけど、そんなんお構いなし。「さっさと終えて帰りたい」が施術に出まくり。ボチャ子おまえやぞ

そして今回の包帯交換の担当は……

ボチャ子。

うぉおおおおおい!!

はぁあああああ????

ワオォーーーーン!!!!

今日は今朝の人が担当だって言ってたのに!!

なにこいつ、俺のことが好きなの?

それとも元の担当さんが忙しくてヘルプで来たのかな? こいつの場合僕がヘルプ! って言いたいくらいやわ。チクショウ

ボチャ子「……」

ムスッとした顔で病室に入るボチャ子。

不機嫌顔をやらせたら、こいつの右に出るものはそうそういないと思う。

何をどうしたらこんな風に起きてる間中不機嫌になれるのか、理解に苦しむ。

世界中の不満を一身に背負ったような面と身体。生贄かこいつは

そんな冗談は置いといて、やっぱり包帯外すときすっげぇ雑。

足の傷も、少しずつは治ってきているけど、まだ血や膿は出てる。まだまだ十分グロ画像とみんなに自慢できるくらいの仕上がりだ

そんなセンシティブな足ちゃんを、何も言わずひたすら不機嫌な顔でベリッ! ってはがすんだもん。折れてるほうの足も遠慮なくグイグイ動かすし……まだ術後間もないんだから心の準備くらいさせてほしい

せめて笑え……!! いや普通の顔でいい。普通の顔で臨んでくれ。

エクストリーム嘆願

今回はさすがに雑さにブーストかかっててヤバかったので、足を引きずりながらフロア受付の看護師さんのところに行って話をした。

ぼく「すいません、ある方の包帯の交換が雑で痛くて……」

受付「え、そうなんですか? 担当はなんていう名前でしたか?」

あ……そういえば俺、ボチャ子の本名知らねえわ……

名札もちゃんと見てないし、これは失敗した。

でも名札見て、もし名字が「山田さん」だったら、もう全国津々浦々の山田さんに会うたびにボチャ子の顔を思い出すことになる。これはリスキー

しかし名前が分からないことには伝えようがない。仕方ないので見た目の特徴で攻めていくことにした。

ぼく「えーと、名前を覚えてないんですよねー……強いて言うなら、顔の左側に大きな痣のある人かなぁ。」

受付「あー……太ってる人?」

割とぼかして伝えたつもりなのに、受付の人は意外と直球な特徴を返してきた。ちょっとびっくり

これは院内でも相当嫌われてるんだろう。確かにボチャ子は異質な看護師であった。

ただこの病院、太ってる人が意外と多かったからなあ……院長もだし……

とりあえずこれ以上特徴を掘り下げられなさそうだったので「そうです」とだけ答える。まあ、あとは担当記録とかで分かるもんだろ……と

受付「わかりました。もうちょっと丁寧にやるように伝えておきますね。嫌な思いをさせてしまってすみません」

ぼく「いいえ、ありがとうございます。こちらこそ急にすみません。」

ちょっとクレーマーっぽかったかもしれないけど、伝えることができてほんとによかった。これで少しはなんとかなるだろう。

本来だったらこんなこと、施術の最中に

「すみません、ちょっと痛いので優しくしていただけると……」

みたいな感じで普通に済むことのはずなんだけど、何しろ相手はあのボチャ子。

そんなこと言った瞬間に「どうやっても痛いんだから、早く終わらせてるんです」みたいな血も涙もない返事しか返ってこないと思う。いや、返事すら返ってくるか怪しい

ボチャ子にとって僕ら患者は人ではなくモノだ。包帯の交換なんてジャガイモの芽取りくらいにしか考えていない。万年不機嫌顔がそれを物語っている

そういうわけで、チクるような形になってしまったが別の方に伝えるしかなかった。つらいっぺ

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見えたる希望

2016年5月3日 PM4:00

筋トレ以外は内容スッカスカの一日の行事を終えた頃、嫁がお見舞いに来る。

とたんに表情が明るくなる僕。もうパブロフの犬状態

しかし転院の話が進まないため、どうも嫁の表情は浮かない感じ。そうだよね、早く済ませたいよね

ガックリしたままでも事は進まないので、今度は二人で受付に行って直談判することにした。

1階受付――

いるのは男の人。

ぼく「あのー」

受付「はい」

ぼく「転院を希望してるんですけど、紹介状って言うのは手続きに手間がかかるものなんでしょうか?」

受付「いや、そんなことないですよ」

「主治医の先生が入院しているらしくて……」

受付「それでしたら院長が代筆すれば済みますので大丈夫です」

「ちなみに転院予定の病院も、ファックスをくれればすぐに手続きしてくれると打診頂きました」

受付「ああ、それならば院長が紹介状書くだけですね。わかりました」

ぼく「ありがとうございます」

おお!! かつて無いくらいのスムーズなやり取り! こうでなくっちゃ☆

今日は院長が手術でいないが、早ければ明日にでもファックスしてもらって転院できるかもしれないらしい。

院長のスケジュールも一応聞いてみたが、明日は特に予定がないとのこと。

これは良い感じじゃないですかぁ!!

病室に戻る。ウキウキの二人。

明日にはこの動物園をオサラバできるんだァー! ウッホホウホウホ!!

その夜の僕は、今までのションボリーナが嘘のように快活だった。この「無敵感」、もう誰にも止められないぜェーっ!

骨折ダイアリー、爆誕

2016年5月4日 AM7:30

今日は朝からテンションもりもりマックス。何でって? そりゃあーた! 今日このヨゴレ病院から綺麗で設備の良い病院に移れる予定ヨ!? これがソワソワせずにいられるかっつーの!

看護師さん「せいじさん朝食ですー」

OK、くるしゅうない! まずいまずい言っておったこの朝食もついに今日が最後か!

いやあ、改めて味わうと、うまいな!!(まずい)

超ノリノリで朝食を終えた僕はノリノリで嫁とラインで連絡を取っていた。

嫁から「くれぐれも仕損じるな」という旨の激励が飛ぶ。そう、相手はあの女院長。

もしかしたら「転院ダメ!」とか言いかねなくはあるから……

ただ、消毒の時間にしかヤツは来ないから暇だ。わざわざ部屋に呼んで話をするというのも横柄な患者みたいで気が引ける。

無礼に無礼で返すのは偉丈夫たる男子のすることではない。僕はそんな豪傑の精神に満ちた心意気でベッドに大人しく横になっていた。

しかし……暇だ。

しかも喜びにざわつくこの心……時間がめっちゃ長く感じる。

どうにかこの浮ついた気持ちをイイ感じに紛らわすことができないものか……

そうだ、ブログ書こう。

そう、骨折ダイアリーの誕生である。

僕みたいに骨折して、どん底気分の人たちはこの日本にいっぱいいるはず。

そんな人たちのために、自分の体験を少しでも面白おかしく綴って、勇気を持ってくれれば……笑ってくれたら……ついでにそれで収益とかあれば(本音)……

思い立ったが吉日、僕は早速ブログを開設しようとインターネッツの大海原に飛び込んだ。

ブログの提供元はたくさんある。Ameba、FC2、ライブドア……

どこが良いのかわけわかめな僕は「少しでも多くの人に読んでもらえる」ということを条件に提供元を絞ることにした。

それであっちこっちで「ここええで」と出てきたのが「はてなブログ」ってわけ。実際のところその通りだと思う

そのチョイスは大正解だった。この「骨折ダイアリー」とかいう、割とあるんじゃね? なキーワードでGoogleの1ページ目に表示されてた。

とりあえず僕はそれだけで大満足。早速はてなブログを作り、書き始めた。

はてなブログを始めるには、「はてなID」とかいうものを取得しなければならないらしい。

ぼくは骨折したことを記念に「ボーン(骨)」と「クラッシュ(壊す)」という単語を組み合わせたはてなIDにすることに決めた。

そして当時の僕が決めたはてなIDは……

borncrash

ん!?!? なんかおかしくない?

そう、これに気づいたのはブログを開設して随分あとのこと。

ボーン(骨)の綴りを「bone(骨)」ではなく「born(生まれる)」にしてしまっていたのだ。

それでも、「なんかいい感じの意味が当てられるだろ」と意味不明な幻想を抱いていた僕はそのわけわからん造語でできたはてなIDをGoogle翻訳にかけてみた

Google先生「borncrash = 生まれクラッシュ」

あーやっちまった。

中学高校と英語をまじめにやってこなかったツケがこんなところで。

市川先生ごめんなさい。

何だかんだと振り返ってもしょうがないし、そのまま続けよう。

「Google」だって元々「Googol」の誤記だったんだからへーきへーき

こうして、しょーもない間違いと言い訳と少しの欲望の中、骨折ダイアリーはスタートしたのであった。

次回の骨折ダイアリー:骨折ダイアリーVol.7

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2件のコメント

こんにちは。つい最近橈骨遠位端と舟状骨を骨折し、療養しています。せいじさんのダイアリーが面白くて先が読みたいなと思っています。もう、ほとんど完治されましたか?リハビリ中ですか?
私もブログ書いてます。「骨折り主婦の日常生活」です。

>ほねおりぞん さん
うおおーーー!! コメントありがとうございます!!
同じく骨折された方からの書き込み、とても嬉しいです!
書き溜めてる内容ではないので非常に更新が遅いですがこれからも新しいお話をどんどんアップしますよ!(ちなみに明日11日にvol.7を更新予定)
容体に関しては現在リハビリを終えて経過観察中です。金属を埋め込んでいるので取り出す再手術が必要ですが・・・
ほねおりぞん さんブログのほうも訪問させていただきますね!

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