音楽は人類最高の発明。誰も人から音楽を奪うことはできないし、その素晴らしさを忘れることはない……
今回はそんな「音楽」ひいては「歌うこと」の素晴らしさを教えてくれた映画『SING(シング)』を紹介します。
この映画を観ている間中僕が心の中に抱いていた感想は「生きてるってことは、夢にあふれてるんだな」ってこと。
そう、この映画は「人生に疲れた人」にとって最高の栄養剤になる一本だったんだ。
登場人物はみんな動物。コミカルなキャラクターたちが圧巻のパフォーマンスで僕らを楽しませてくれます。
もくじ
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SING(シング)のあらすじ・概要
幼い頃に観に行った舞台の魅力に憑りつかれたコアラのバスター・ムーンは父の助けもあり、ついに夢見ていた劇場主となることができた。しかし近年その興業は振るわず借金を重ね、劇場も銀行に差し押さえられる寸前であった。
そんな時ムーンが起死回生の手段として考え出したのが「歌のオーディション企画」であり、その模様を劇場で観客に公開するというもの。その賞金は1000ドルの予定であったが手違いにより10万ドルと印刷されたビラが街中にバラ撒かれ、劇場には候補者となるべく長蛇の列ができてしまう。
劇場の存続のこともあり後に引けなくなったムーンはオーディションによって最終的に5人の候補者の選定を行うが、彼らにも様々な問題があった。
専業主婦として25人の子供と夫の生活を毎日支えるブタのロジータは、今回のオーディションでたまたまパートナーとして組んでいたグンターとなかなか波長が合わず本番に不安を感じる毎日。
ゴリラのジョニーは窃盗団の大ボスである父との折り合いがつかず不完全なパフォーマンスと圧倒的な練習不足、挙句の果てにやりたくもない泥棒の手助けという毎日に辟易していた。
ストリートミュージシャンをしていたネズミのマイクはその自己中心的な性格とずる賢さが災いしてカジノでゴロツキのクマである3人組に目をつけられてしまう。
彼氏とバンドを組んでいたヤマアラシのアッシュは2人で受けたムーン劇場のオーディションでメインボーカルではない自分だけが合格してしまい彼氏と溝ができてしまう。
挙句の果てには彼氏の浮気現場を目撃してしまい、その絶望に歌うこともままならないまま本番まで過ごすこととなる。
ゾウのミーナは実力はあるものの極度のあがり症でステージに立つと歌えなくなり、オーディションでも全く歌うことができず落選。しかしそのオーディションに欠員が出てしまい、そのあがり症も克服できないまま補欠要因として組み込まれることに。
そして企画主であるムーンも本番の準備中に事故で劇場が倒壊してしまう。これによって劇場は完全に銀行に差し押さえられてしまい、オーディション企画自体続行することが不可能となってしまったのだった。
全てを失ったムーンに何とか企画を再開することはできないかと懇願する候補者一同であったが……
SING(シング)の見どころ
この映画の最大の見どころは何といっても落選含む候補者たちのパフォーマンスである。高い歌唱力に動物ならではのクセが出ており、耳でも目でも楽しめる映像。
また曲目は今時の曲から往年の名曲まで様々なジャンルを網羅しており、単純なミュージックビデオとしても見ごたえ十分だ。
そしてこの物語で何より素晴らしいのはムーン含む出演者全員が表現者としての「夢」を持っているところであり、その年齢も様々であることだ。
10代の青少年だけがキラキラとした夢を追うだけの娯楽作品ではなく、ロジータのように既に結婚して家庭を持っている者も、マイクのように長い間その才能に花咲かなかった者も等しく素晴らしい舞台に挑戦する権利がある。
この映画はそんな愚直ともいえる夢追い人たちの希望に溢れた作品だ。
一方で作品自体に明確な主人公というのは登場せず、ムーンやその他出演者の群像劇的な物語が進行する。
その中である者は人間関係に悩んだり、またある者は自身の実力に自信が持てなかったりと様々な問題をはらんだ個々のキャラクターに丁寧にスポットを当てているところは「人の悩みは一様ではなく、一作品の中にも様々な想いが渦巻いている」ということを端的に表現している一幕だと言えるだろう。
「夢を追う」という共通のテーマがありながらその理由もそれぞれであり、決して一方向だけの独りよがりなアプローチを描写した作品でないところは多くの視聴者の心を動かす要因となる、まさに「視聴者みんなが夢を見ることができる」という非常にワクワクする内容である。
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SING(シング)の感想! ※ネタバレ注意
もうね、この映画ね、とりあえず2017年現在の自己最高ヒット作品です。
なんつーか、歌手を目指してるわけではない僕も「歌手目指したい!」って思えるくらい観ている人に夢を与える影響力のある映画だと思いました。
冴えなすぎる男・ムーン
この物語は冴えない男(コアラ)・ムーンの物語から始まるわけですが……
この男、冴えなすぎ。
まず宇宙飛行士を目指していたくせにサッと方向転換する軽さと、劇場を購入するのに親父の金を頼り、挙句の果てに運営費用を金持ちの友人に無心しまくるという「超」がつくくらいの甘ちゃん。そんなんだから劇場運営もうまくいかず経営難まっしぐら。
そんなクソ甘な野郎の起死回生の儲けネタが歌のオーディション開催なんだけど、生来の軽さと詰めの甘さが祟って様々な問題を残したままの進行、そして劇場の破壊を経て無一文というスケールがデカいんだか小さいんだかわからない人生。
その一方で彼の朗らかさを慕いついてきてくれる人物も少なくなくて、「ああ、人には態度良くしとくもんやな……」と痛感させられます。
ミス・グローリーのいじらしさに涙
そんなクソ冴えないムーンにずっと事務員として仕えてきたイグアナの老婆であるミス・グローリーのシーンが僕は一番好きだったりします。
なんつーか、分からないなりに頑張ってる姿がほんとにいじらしいんだよ!!
僕の祖母は割とチャキチャキ系だったんだけど、ミス・グローリーは僕が漫画や映画などで培ってきた「THE・おばあちゃん」のイメージを凝縮したかのような存在。優しくて、穏やかで、どこか憎めない、それがおばあちゃんという生き物
この物語の様々なトラブルの発端は彼女が原因でもあったりするけど、一生懸命ムーンを支えようとする姿は単なる事務員ではなく、「ムーンのおばあちゃんがわり」な一面を見せてくれます。
それだけにムーンもミス・グローリーのミスにはおおらかで、しきりに「クビにしたりなんかしないから!」と釘を刺してます。ムーン自身の幼少期の記憶に母親が出てこなかったのもあり、もしかしたらミス・グローリーに母親の一面を見てたのかもしれないね。ムーンが全てを失って無一文になり、車の洗車の仕事を始めた時も見放さず着いてくる親心。泣いちゃう
一方で物語をかき回すトラブルメーカーなシーンばかりかと思いきや意外な才能もあって、本番のピアノでのパフォーマンスに実力不足で悩んでいたゴリラのジョニーを付きっきりで指導して見事成功を収めるという超ファインプレーをやってくれちゃったりしてます。
決して出演者たちのように華やかなシーンはないけど、その「縁の下の力持ち」的な姿はしっかりと心に刻まれてるよ! 主に俺の
ミーナ歌うますぎ問題
最終的に出演が決まっている5名のメンバーはその一人一人が素晴らしい声と実力を持ってて歌のシーンは感動しっぱなしです。
本番の曲目は以下
- グンター&ロジータ(ブタ):Shake It Off – 原曲:テイラー・スウィフト
- ジョニー(ゴリラ):I’m Still Standing – 原曲エルトン・ジョン
- マイク(ネズミ):My Way – 原曲:フランク・シナトラ
- アッシュ(ヤマアラシ):Set It All Free – 本人オリジナル曲:スカーレット・ヨハンソン
- ミーナ(ゾウ):Don’t You Worry ‘bout a Thing – 原曲:スティーヴィー・ワンダー
トップバッターのグンター&ロジータは軽快なポップスに乗せたコミカルなダンス、ジョニーはワイルドなピアノ演奏にパーティーチックなポップス、マイクはムーディーなディナーショーを彷彿とさせる柔らかな低音、アッシュは既存曲の中一人だけハスキーな声を活かしたオリジナル曲……
みんな素人ではまねできないほどの高い歌唱力。声当ててる俳優さんもそうなんですが、その中でもアッシュ役のスカーレット・ヨハンソンのハスキーボイスにはビックリ。歌ってる姿を見たことがなかったんでこんなにソウルフルな歌が歌えるなんて……女優さんってすごいわ
しかーーし!!
ダークホースは別にいた!!
ゾウのミーナ。
もう一回言うぞ?
ゾウのミーナ!!
もうね、ヤバイの一言。家でお爺ちゃんの誕生日を祝う際の「ハッピーバースデー」を口ずさんでる時や、一人静かに劇場の瓦礫の中で「Hallelujah(ハレルヤ)」を練習してる時にその片鱗は見えてたんだけど、本番は更にヤバかった!!
どんだけヤバかったかというと、他の歌唱力がヤバイ出演者に対して「いやいやwww俺の方がうめーしwww」って見下してたネズミのマイクが魅入って勝手に踊りだすくらいヤバイ。マイクもクソ上手いのに
優しく囁くかのようなウィスパーボイスから始まり、弾むような綺麗なAメロ、そしてどうやってそんな声出してんだみたいなサビの力強い高音部分……
もうね、感動で涙ちょちょぎれるとはまさにこの瞬間
日本人ではなかなか見ることのできないパワフルな歌い方には本当に鳥肌が立ったよ!!
マジでこの興奮は本編を見て感じてほしい次第であります。
歌好きは字幕で観ろ!
この映画のおすすめは字幕版!
吹替え版の声当ても決して不自然ではないんですが、やはり扱ってる題材が「歌」であり、洋楽を扱ってるので声は英語で聴いてもらった方が自然な上にカッコいいです。
日本人が歌ヘタってわけじゃないんだけど、慣れた歌い方というか、あのパワフルさは欧米人の言語特性が培ったところが大きいと思うので、素直にそっちに合わせといたほうが圧巻の歌唱力を堪能できます。
日本人は可愛い歌い方の方が似合ってる
有意義な人生に夢は不可欠
この映画に出てくる登場人物を見ていると、自分が日常の喧噪の中で忘れかけていた「純粋に夢を見続けること」を思い出します。
それはこの表題でもある「歌」だけでなく自分のやりたいこと、好きなこととかね。
それらが仕事だったり、そのほかのやらなくてはいけないことに押しつぶされて「そのうち時間ができたら……」から「もうそんなことをできる時じゃない」というように、少しずつ削られていくのがとても悲しく感じていました。
登場人物たちもその現実に夢を邪魔され少しずつ希望を失ってたけど、それでも見えない未来を手探りで探そうとする姿は「自分に足りないのってこんな必死さなんだな……」と気づかされました。
……と同時に何かを成すためには行き詰った時ただくよくよしていても人生は切り開けないんだな、と。
感動の多い人生には挫折も多い。それらを乗り越えて色々なものを失って、そして新しいものを得て……そうやって有意義な人生って形作られていくんだね。
僕はもっと失う勇気を持つべきだな……と教えられた作品でした。
いやぁ、映画って本当に素晴らしいもんですねぇ!!
映画『SING(シング)』是非皆さんも観てください!!
ちなみに映画館で観たら既に予告で続編が決まってるらしい!
またあの素晴らしい歌声が劇場で聴けるのかーーーー!!
絶対観に行くぞチクショォオオオオオォ!!
エンド
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