「オルソケラトロジー」という治療法を知っていますか?
主に近視治療を目的とした角膜矯正法で、レーシックのように角膜を切ることなく視力矯正が可能です。簡単に言うと「特殊な形をしたハードコンタクトレンズを長時間装用し角膜の形をクセ付けして、その矯正した角膜の状態でレンズを外すと視力が回復している」という代物。
メスなどを使った手術を一切必要とせず、可逆性の高い矯正法なのでレーシックなどに比べて安全性が高いと言われています。
スゴくね!?
レーシックなんつーのは不可逆性(一回やると元に戻んない系)の高い手術であり、医療ミスなどが起これば結構な代償を払わなければいけないわけです。しかしオルソケラトロジーはその心配がない。途中で止めたきゃ止めればいいし、後遺症なんつーのもまず起こらない。
日々技術が進歩する中でレーシックの安全性を疑うのはナンセンスではあるかもしれないけど、身内にも結局視力下がっちゃった人とかもいるからね……
もくじ
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「メガネ君」と呼ばれたくない!!
一昔前から巷では「メガネ男子」なるものが脚光を浴びていますが、僕はずぇんずぇん嬉しくないです。
「せいじくん? あぁ、あのメガネの子?」
これマジやめろ
視力の低い人間からすると、メガネをかける・かけないの選択肢がないため「メガネ男子」になりたかろうがなかろうが、僕はメガネ男子でいなければならない。
目がいい人にこの気持ちわかる?
伊達メガネかけて
「今日はコレでいってみよう(メガネクイッ)」
とかやってる人を見るとそのお気軽さと自分の不能さに羨望と憤りの念を禁じえません。近眼にとって、目がいいということだけで何物にも勝る充実感と幸福感があるのです。
……と、視力優良者に対し散々怒りを覚えてきた僕であったが、中学2年生くらいまでは視力はかなり良かった。
その数値は実に右2.1&左2.5と田舎者ならではの高スコアを叩き出していたのだが、受験勉強だ情報処理の授業だと、目を酷使する機会が徐々に増えてゆき、成人するころには左右0.3を切るという体たらく。
一時は「ソフトコンタクトレンズ」という画期的な商品に飛びつきその視力矯正性能に酔いしれたのだが……
目が疲れる!! 乾くゥーーーー!!
そう、僕みたいな身体に異物入れられないマンは、最初の1時間こそ快適に高視力を堪能できるものの、それ以降はやたらと目が乾き、何度も何度もコンタクト用目薬を差したり、あくびをして涙を補充したりとその視界を楽しむ暇がない。おまけにソフトコンタクトをはずし忘れた日にゃあ、翌朝コンタクトはカピカピ、目は充血しまくりと前日そのままムニャムニャしちゃった自分をぶん殴りたくなるほど。ちなみにソフトコンタクトレンズを装用したままの睡眠は、角膜剥離や角膜潰瘍などの目にとって重篤な症状を引き起こすことがあるので絶対にダメだぞ!
そんな視力に翻弄されまくった僕が縋ったのがこの「オルソケラトロジー」なのです。
オルソケラトロジーの治療内容
僕が当時施術先として通ったのは新宿近視クリニックというトコなんだけど、そこでの治療フローは
- カウンセリング
- 視力検査
- テストレンズ装用
- (1~2週間後)マイレンズ受け取り
ここまでがクリニックでの処理。1~3まではその日にできるからそんな足しげく通わなくてもいいのが助かります。ちなみに僕はテストレンズ装用の30分~1時間ほどでその威力を目の当たりにしました。その短時間でも若干視力回復してたんですね
料金は2018年現在、両目で15~16万円ほど。保険適用外の治療であるため、料金はクリニックによって異なります。品川近視クリニックは2018年現在両目で9万円ほどで提供されています。
んで!!
ここからが重要な、マイレンズを受け取ってから自宅での治療フロー!!
- 寝る前にレンズを装用する
- 寝る
- 起きる
- レンズを外す
ビビるやろ? たったこれだけよ?
オルソケラトロジーのすごいところは寝ている間にレンズを装用しているだけで視力が矯正されていること。僕らがふだん使い慣れたソフトコンタクトレンズは酸素透過率が著しく劣るため目へのダメージが大きく、睡眠中の装用はできませんが、オルソケラトロジーレンズの特性として「非常に酸素透過率の高いレンズ」を使用していることから実現可能になった手法です。
この治療中、近眼だった僕が一番感動したのは朝。
朝、目を覚ますと視界がハッキリしている
目のいい人には分からないでしょうね、この素朴な感動が!!
僕らメガネ族は当たり前ですが寝るときメガネをはずします。その時見える世界は視力にもよりますが僕みたいに0.1切ってる野郎には裸眼だとすりガラスだかぼかしエフェクトが入った世界にしか見えません。
それが! 朝から! くっきり! 見えるゥゥウウゥウーーーー!!
もうヤバイ。テンションMAXとかそんなレベルじゃない。目ン玉外して洗浄して生まれ変わったみたいな気持ち。視力という手術以外では矯正困難な問題が、レンズつけて寝るだけで解決してる!!
その視力は驚くなかれ両目とも1.5!!
なんだこれはーーーー!!
ワォーーーーン!!
十数年ぶりの起床からクリアな視界。目が見えることは素晴らしい。
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強度近視の人でもオルソケラトロジーは可能?
オルソケラトロジーをやるにあたって気になるのがコレ。近視治療なのに一番見えづらくて困ってる強度近視が対応不可って残酷だよね
結論から言うと、強度近視の人は治療を適用できない可能性があります。オルソケラトロジーの矯正は目の角膜にクセづけをして矯正するので、形状を変える限界まで届いてしまうとそれ以上の矯正ができなくなってしまうからです。
下表は視力とコンタクトレンズの簡単な相関図
近視の基準は-1.00以下が初期、-1.00D超え~-3.00D以下が軽度、-3.00D超え~-6.00D以下が中等度、-6.00D超え~-10.00D以下が強度近視にあたります。
僕のコンタクトレンズの度数は-3.50Dなので、視力は0.1~0.2の間と言ったところですね。程度で言うと中等度近視になりますので適用には問題ありませんでした。しかし、それ以上の近視の人でもクリニックでの相談、明らかに適用不可でなければテストレンズの装用は試すことはできるので挑戦してみる価値はあるよ!
オルソケラトロジーのメリット
これまで出会ってきたどの視力矯正術より確実で安心なオルソケラトロジー。そのメリットについて触れていきます
寝ているだけで治療が終わる
治療内容にも記載しましたが、やってることはレンズつけて寝てるだけです。みんな通常は1日のうち少なくとも6時間くらいは睡眠時間を確保しますよね? その時間を使ってレンズをつけてるだけです。「今日はスポーツするからメガネからコンタクトに変えよう」とか方針を変えなくていいから楽
これが起きている間にレンズを装用する……という治療法だとグッとハードルが上がり、継続できる人は少なくなるでしょう。寝ている間に終わってるなんて妖精さんの仕業みたい
可逆的な治療である
このレンズは装用することによって角膜が矯正され、視力が回復します。もしレンズを1日つけ忘れても重篤な症状を引き起こすことなど無く、単に視力が元に戻るだけです。
つまりやり始めて「ん、なんかおかしいな?」と思ったら止めればいいんです。レーシック治療で生じることがある、ドライアイなどの症状も現れないので、スッゴイ気楽
起きていてもレンズの装用が可能
コレお医者さんに聞いたんですが、別に起きている間につけてても問題はないそうです。ゆーてハードコンタクトレンズの一種だし
もちろん起きて装用してる間にも視力の矯正はリアルタイムで行われてます。テストレンズは起きたままつけて試したし。それで「そろそろ大丈夫かな?」って思ったらレンズ外せばいい。そうすると裸眼でも見えるようになってるから
社会人になれば「昨日飲みすぎてレンズつけ忘れたー……」なんてこともあると思うけど、そういう時は起きてレンズを装用すれば視力は問題ありません。
運動に最適
数あるメリットの中でこれが一番のアビリティーだと思います。僕器械体操やってたんで宙返りとか、それをひねってみたりとかのメガネじゃ到底無理な運動をしてたんだけど、ソフトコンタクトレンズでもコンディションによってはレンズがずれたり、外れそうになったりしてました。
でもオルソケラトロジーなら裸眼なワケだから、そんな心配全くナシ!!
しかもソフトコンタクトならではの目の乾きもなくなって、普段の生活もホント楽になりました。これが一番テンションあがったよ
激しい運動をする人、目に異物を入れたままスポーツするのが不安な人はこれ以上の選択はないです。パフォーマンスも上がるで
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オルソケラトロジーのデリット
こんな感動秘話てんこもりのオルソケラトロジーなんですが、当然デメリットもあります。
んで結論から言うと僕は現在レンズの使用を止めています。その理由も含めご説明します
治療代が高い
さっき少し触れたけど、治療代は両目で最低15万円くらいします。新宿近視クリニックはクレジット決済できたから分割で治療したけど、それでも高いよね!!
しかも!!
このハードレンズ、結構デリケートで壊れやすく、洗ってる最中にはずみで少し強く握っちゃったら「パキッ……」っと壊れちゃいました。交換レンズ代は片目25,000円……それ以降は扱いに細心の注意を払うようにしました。
ただ、レンズの強度問題もかなり改善に向かっているようで、品川近視クリニックは両目9万円ほどから可能で、レンズも衝撃に強い東レ(TORAY)のブレスオーコレクトを使用しています。レンズの破損にビクビクして生活しなくて良いのは非常に助かりますね。
異物感がヤバイ
酸素透過率など、やたらソフトコンタクトレンズとレンズ特性を比べてはいましたが、装用感でいうとソフトコンタクトレンズの足元にも及びません。
確かに異物感の軽減に努めてはいるようですが、それでもソフトコンタクトに比べて目の中が「ゴロゴロ」する感じはありますし、ホコリなんかが入っちゃった場合の痛みはソフトコンタクトの比じゃありません。大の男が「うぉぉおぉおおん……痛いよぉぉお……」と涙を流しながら水道を探すレベルです。
感じ方には個人差あって、気にならない人には全く気にならないかもしれませんが、僕の場合は「慣れるけど、やっぱり気になるなぁ」でした。
寝るときにこのレンズの異物感が気になりだすと眠れないこともしばしば。
1日の視力にバラつきがある
先ほどメリットとして挙げた「可逆性」ですが、見方を変えればデメリットともなりえます。
というのがこの治療、角膜をレンズの形に「矯正」してるので、レンズを外せば角膜は元の形に戻ろうとするわけです。もちろん外した瞬間から「ヒュン!」って戻るわけじゃないけど、それは時間をかけてじっくりと行われます。
特に治療始めの頃は、クセ付けが定着してない為、朝は「クッキリ!」でも夕方あたりから「なんか少しぼやけてる……?」な感じになります。
もちろん治療1週間目、1ヶ月目と治療日数を重ねていけば余裕で丸1日もつようになってきますが、その間は中途半端な視力のため今まで使ってたメガネは度が強すぎて、裸眼だと見えにくいという状態になります。特に運転系の仕事だとこのゆらぎは結構痛い
そのため治療歴が浅い間はレンズを持ち歩き、合間を縫って装用するようにした方がいいです。
まずはテストでも試してみることをおすすめします
実際に体験してみて感じてメリット・デメリットに関して、メリットの方が思いつく数は多かったですが、何故僕は治療をやめてしまったのか?
それは僕が元々睡眠障害を持っていたからなんですね。
睡眠障害というと重く聞こえるかもしれませんが、元々眠りが浅く、色々苦労していたところにオルソケラトロジーの異物感が重なって、余計眠れなくなっちゃったわけです。そうなるとソフトコンタクトの「目が疲れる!」っていうのをカバーできてない気がして、約1年ほど治療を続けてきた頃に装用をやめました。
というわけで僕みたいに「環境が変わると落ち着かなくて眠れない人」なんかはオルソケラトロジーは慣れるのに時間がかかります。逆にどこでも寝れる図太い神経を持った人は、手術のリスクもなく裸眼で快適に過ごせるチャンスなので絶対やった方がいいです。僕自身、この眠れない症状がなくなったらすぐにでもまたオルソケラトロジーの治療再開したいくらいなんだもん……
みんな、目がよく見えるってのはスゴイ財産なんだぞ!!
そんな話です。
エンド
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