『北斗の拳』のラオウが小物である3つの理由!

『北斗の拳』のラオウが小物である3つの理由
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 『北斗の拳』というマンガはみなさんご存知だと思います。

主人公のケンシロウをはじめ、その兄であるラオウトキ、南斗聖拳の使い手であるシンレイなどの筋骨隆々で屈強な男たちが、核の炎で包まれた乱世を舞台に闘うサバイバルバトル漫画。

その登場人物の中でも屈指の人気を誇るラオウ

その人気は日本漫画界に名を残すほどの偉大なキャラクターで、彼が死んだ後に実際に葬儀が行われるほどの慕われっぷりです。

ラオウ昇魂式

ラオウの死を描いたアニメ映画『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 激闘の章』の公開10日前の2007年4月18日、東京・高輪にある真言宗の高野山東京別院で「ラオウ昇魂式」が行われた。遺族代表として、武論尊、原哲夫らが参列し、葬儀委員長は谷村新司が務めた。また映画でラオウの声を担当した宇梶剛士が弔辞を読み、声優として参加した角田信朗がラオウに捧げる演舞を披露した。これに伴い、ラオウは正式に故人となった。
なお、漫画のキャラクターの葬儀が本物の寺院(宗教施設)で営まれるのは初めての事である。ラオウを供養する為として日本中から多くのファンが集まり、海外のファンも訪れた程であった。しかし、雑誌『PCangel』内のライターによるコーナーでこの件に対し「ラオウは最期に『天へ帰るに人の手は借りぬ』と言っているのに葬儀を行う(本人以外の人間が葬る)のはおかしい」、「ただの映画の宣伝に過ぎない」との記述があり批判的意見も少なからずあった。

ラオウ – Wikipedia

これほどの社会的影響力のあるキャラクターはなかなかいないと思います。

劇中のみならず、世間的にも「漢(おとこ)」の理想として描かれるラオウ。

しかーーーし!!

僕は思うのです

このおっちゃん、過大評価じゃね? と

実際に『北斗の拳』を読めば読むほど、彼が小物見えて仕方がないのですよ!!

今回はそんなラオウの小物エピソードにスポットを当ててみようと思います。

※考察にはコミックス『北斗の拳』のみを使っています。(スピンオフ作品等は時系列等の矛盾が生じているため)

もくじ

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ワガママ。とにかくワガママ問題

読んだことがある人なら思うでしょうけど、彼は本当にワガママな人間です。「超」がつくワガママっぷり

北斗神拳の伝承者争いの中、ヒロインであるユリアに恋をしますが、肝心のユリアはケンシロウラブ

そんな乙女に対して「ケンシロウを捨てろ!! そして今日からこのおれを愛するのだ!!」と迫ります。

ラオウ小物エピソード

(出典:『北斗の拳』コミックス第7巻)

もうね、この瞬間はユリアと全く同じ意見です。

なにをバカな!!

今日日NTR漫画でもこんなアプローチする男なんていません。突然の関白宣言に乙女の心が射抜かれるとでも思ってたのだろうか?

もちろん結果は撃沈。当たり前だわ

こんなの漢じゃありません。ただの「勘違い力持ちおじさん」です。拳王をバカ呼ばわりするユリアは相当根性据わってるわ

でもユリアに「そう(好きだと)思われていると知っただけで死にたくなります」と言われた南斗聖拳のシンもいることから、「自分はまだマシだ」とでも思ってたんでしょうか?

その傍若無人さは恋愛にとどまらず、拳王となって世紀末の覇道を歩む最中にも見え隠れします。

次は自分の部下に対する冷たい態度。

自分が期待する人間や強い者には敬意を払いますが、それ以外の弱者には容赦ありません。

自分の気に入らないことをする人間、気に入らない言動に対しては徹底的に暴力を働きます。

徹底的な非暴力を訴える村の長に対しては容赦なくその拳を叩きつけます。相手はおじいちゃんなのに……

そして南斗五車星「山のフドウ」との対決時、「この線より下がったら俺に矢を放て」と自分の命をかけて決闘に挑み、なんやかんやで結局線を超えてしまい実質フドウに負けたラオウですが、それで拾った命で自分の部下にブチ切れて殺害してしまいます。

ラオウ小物エピソード

(出典:『北斗の拳』コミックス第15巻)

ラオウの言いつけを守らず勝負に水を差した部下はもちろん悪いですが、それを咎めるのに命を奪うのはどうなんでしょう?

手段は腐っていても君主を守るために奔走した部下の末路は悲惨です。絶対上司にしたくないやろこんなん……

言動一つで殺される組織に、それでも所属している部下って、もしかしてその他の待遇は破格だったのか!?

「バキ」シリーズで範馬勇次郎「強さとは我が儘(わがまま)を貫き通す力」と語っていますが、ラオウは「ワガママは言えど、貫き通せなかった」クチです。これがすべて強引に成就させていたら大物になったろうに。

剛拳を名乗る割には小心者問題

ラオウの持ち味はなんと言ってもその戦闘スタイル。

自身で「剛拳」を名乗るだけあってなんともパワフルな戦い方。目の前に現れる壁はとにかく正面から破壊!!

己が覇道を邪魔するものは何人たりとも容赦はせん!!

……と思いきや、必ずしもそのスタイルは貫いているものではなく、何度も正面からの戦闘を避けているシーンがあります。

有名なものはサウザー戦。

ケンシロウがメインでサウザーと対決するのですが、ラオウも傍観者&ケンシロウの保護者として戦闘を観覧。

その際サウザーから挑発を受けていますが、当のラオウは「おごるなサウザー!! きさまの体の謎はトキが知っておるわ!!」

ラオウ小物エピソード

(出典:『北斗の拳』コミックス第11巻)

ってオイオイオイ! そこトキ任せかよ! お前の剛拳でどうにかせーよ!

部下に関しては自分の癇に障る発言は許さないラオウ。しかしライバルに対してはそうでもないようです。謎知らないから怖いもんね、仕方ないね

一方でサウザーの謎をラオウに教えなかったトキはグッジョブ! でも「トキが知っておるわ!!」という言動からさわり程度は伝えてたんでしょうか?

トキ「謎知ってるんだけど、兄貴には教えんわw」みたいな。かわいいやり取りだなオイ

また、カサンドラ編では拳法家の親子を幽閉して免許皆伝を奪った上で全員獄中死させています。理由はいずれ自分の脅威になりえる存在は消すため。

ラオウ小物エピソード

(出典:『北斗の拳』コミックス第7巻)

オイオイオイ拳法家の男を殺すまでならまだわかるけど、妻子供も巻き込む必要ある?

自分の身を捨ててまで家族の命を守ろうとする「漢」に対してこの仕打ちは小物すぎる!!

来るかもわからぬ先の脅威を恐れるとは、もはや政治家のような慎重さ。僕はここで一番ラオウの小物度を実感しました

男女平等が叫ばれる昨今、「女子供」という表現はいただけないかもしれませんが、北斗の拳で明確に女子供に手を下した主要キャラはラオウだけ。

そして自分の剛拳が通じないと見るや素直に敗北を認めず不意打ちに走る姑息さ。

師であるリュウケンとの対決時、完膚なきまでにボッコボコにされたにもかかわらず、リュウケンの病状悪化による発作で動きが止まったのをいいことに仕返し。完全にチンピラのケンカですね

ラオウ小物エピソード

(出典:『北斗の拳』コミックス第8巻)

この顔! 完全にジャギ化してます。

ジャギ

(出典:『北斗の拳』コミックス第5巻)

ジャギが伝承者争いに負けてアタフタしてた時、ラオウは落ち着いた雰囲気を見せてましたが多分内心ムッカムカ。

リュウケンも天国で「コイツ育て方間違ったわ」と嘆いていることでしょう……

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自分の信念貫かなさすぎ問題

『北斗の拳』の世界では「死兆星」を見たものは結構な割合で近いうちに死にます。

中には死ななかったり、多少長生きする者もいますが、まあそう考えるとわりと当たる占いみたいなもんでしょうね。

自分の覇道を侵すものはたとえ神でも許さないスタンスを見せる割に、この星占いには異常なほど拘ります。

トキとの対戦中に「天を見よ!! 見えるはずだあの死兆星が!!」と言われた際には身体をワナワナさせながら脂汗を流しています。そんなに占いが怖いんか……

ラオウ小物エピソード

(出典:『北斗の拳』コミックス第12巻)

こんな調子じゃ神なんかと戦っても勝てるはずがありません。まあそれ以前にケンシロウに負けたんだが

普段はポーカーフェイスを決め込んでるラオウですが、内心はいつ自分に死兆星が見えるのかドキドキだったんでしょう。

もう無理に世紀末覇者名乗るのやめて、村の長とかに納まった方が幸せになれるんじゃないだろうか。

そしてユリアに対しても血も涙もない強気なスタンスを決めていましたが、一度ユリアの病を知ってからは急にしおらしくなるラオウ。

優しいラオウ

(出典:『北斗の拳』コミックス第16巻)

病状を察すると自然と涙があふれ出します。もうこうなってはただの優しいおじさんです

最初からそのアプローチをしていればいくらか希望はあったんじゃないでしょうか?

そもそも秘奥義を習得するにあたって「哀しみ」を再現しなきゃいけない段階で「せや! ユリア殺したろ!」っていう短絡的思考自体が哀しいです。そうでもしないと習得できない自分の不甲斐なさに嘆くべき。(べジータ的発想)

ベジータ

(出典:『ドラゴンボール』コミックス第29巻)

サウザーやシンなどの自分を貫いて死んでいった男たちが多数存在する北斗の拳の中では、どうしてもラオウのダブルスタンダードな感じがやたらと目立ってしまいます。

もうラオウを楽にしてあげてはどうだろう

ラオウが小物であることは間違いありませんが、彼はむしろ時代の被害者なのかもしれません。

北斗の拳がリアルタイムだった時代はインターネットなど全く普及していなかった世の中。

これがネットが発達した今、リアルタイム放送なら「自分の至らなさを部下に発散って……」「一族郎党死罪って昔の中国かよ」「絶対結婚したくない男」など様々な議論が交わされてたでしょうね。

マンガ・リアル世界共に自分の良いところだけを持ちあげられて騒ぎ出す周囲……もう引くに引けなくなったラオウは、修羅となり乱世をさまよう……

屈強な肉体を持ちながら時代に翻弄され突き進むラオウは、小物ながらケンシロウよりも人間味を感じます。

作中でもラスボスポジションなのにワーワー喚くし、汗もダラダラかくし、幼少期の恥ずかしい&未熟エピソードも彼は非常に多いです。ケンシロウやトキが優等生に見えるレベル

それでおいてワガママで小心者で一貫性のない不器用な彼ですが、「良い自分の見せ方」って言うのはよくわかってると思います。

ラオウのシーンで印象的なのは最後に「見事だ弟よ!!」とデレた部分。

優しいラオウ

(出典:『北斗の拳』コミックス第16巻)

性格の悪いキャラクターが善人化するとかなり評価上がりますよね。「意外とイイやつやん」って

弟の成長を認めたラオウはまさに「優しいお兄ちゃん」。正直、ケンシロウを抱いた瞬間「甘いわ愚弟が!! 勝つのはこの俺!!」って絞め殺すかと思ってた。リュウケン戦という前科があるから

何かと伝説を作られまくり、天国で肩身の居心地の思いをしている彼だとは思いますが、これを機にラオウの「そのまま」を認めてあげてもいいんじゃないでしょうか?

そんな話です。

エンド

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1件のコメント

カンペキじゃなくてもええやん!
後付けが多いのでラオウの性格に関してブレるのは、考え無しに非情に描いてしまった結果だと思いますw

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